[10]エトセトラ


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 ■ ハリハリを漬けよう ■

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ただ今スキャン中
高橋祥之さんから、「ハリハリな食べ物 の画像」なるものが送られてきた(1998.11.)。たまたま店頭でみつけたとのことで、わざわざ スキャナ(^_^; 取り込んで送ってくださったらしい。(当サイトへの情報提供者第1号です。どうもありがとうございます)
「食べ物? というと……動物ビスケットあたりかな?」などと見当をつけつつ、いそいそと画像を開いてみると……予想は大ハズレ。高橋さんの「ハリハリな食べ物」とは、「ハリハリ漬け」のことだったのである(わはは)。このページの壁紙は、この画像から作らせていただいた。
「ハリハリ(漬け)」とは、刻んだ大根を醤油などで味付けした漬け物のことだ。べつに探したわけではないのだが、画像を送っていただいた翌日、私も近所のコンビニで、高橋さんに画像を送っていただいたのと同じものを見つけた。新潟県は新発田(しばた)市の、片山食品(株)の製品、「割干ハリハリ」である。
広辞苑(第2版)に当たってみると、「はりはり」の項がちゃんとある。
はりはり(噛む音からいう)千切りに刻んだ大根を酢と醤油で漬けたもの。はりはり漬。
そういえば、「はりはり」とは、歯ごたえのよい食感を表すのに使われてきた言葉であった。その擬音語(or 擬態語)をそのまま使った命名は、食べ物の名前として、秀逸だと思う。しかし、その伝で行けば、逆にハリネズミは、「ハリハリ」ではおかしい。さしずめ「ちくちく」とでも呼ぶべきところであろう。……余計なお世話か。

ハリハリ大根
また、書家の石井星山さんからも、(有)月山パイロットファームの「ハリハリ大根」のデジカメ画像を戴いた(1999.01.)。感謝、感謝(^.^)v。
これは、石井さんの参加しておられる「生活クラブ生協」で扱っている製品で、特に青大豆がこりこりした枝豆みたいでおいしく、お子さんたちも大好物なのだとか。うん、おいしそうです。
裏の説明書きには、「ハリハリ大根は、乾燥した干し大根を細かく切り、水にもどして、青大豆・にんじん・南ばんを混ぜ、しょうゆ・砂糖・酒でつくった調味液に漬け込んだ漬け物です。栄養の豊かさ、バランスと歯ざわり、風味に特色ある、庄内地方独特の食べ物です。」とあるとのこと。詳細な情報、ありがとうございますm(_ _)m。>石井さん
製法では新発田産の「割干ハリハリ」とほとんど違わないようなので、味にも大きな隔たりはなさそうだが、大根の色が白いままであるところを汲んで、「庄内地方独特の食べ物」という製造者の自己申告には異を唱えないことにしよう。

ハリハリ漬けを自分で作ってみようという向きは、以下を参照されるとよい。

片山食品 とは耳馴れない社名だが、この漬け物メーカーの会長は、1994年から98年まで、地元新発田市の商工会議所会頭を務めている。その後、当時の市長−−5期にわたってその椅子を守ってきた−−の次期選挙での去就が不鮮明であった時期に、地元経済人らに担がれて、市長選への出馬を表明した。11月15日の選挙では、結局6選を狙って出た現職市長を、約6,500票の大差で退け、見事当選を果たした。
地元経済界の重鎮が、マンネリ市政の打破を掲げて、自ら行革に乗り出した、という図式であろうか。活躍を期待したい。……ほんとはどーでもいいんだけどね。

何の変哲もない栗
# なお、ハリネズミに外見的に一番似ている食べ物といえば、何よりもまずイガのままの
クリの実、次いで殻のままのウニということになるだろうが、さらにその次を挙げるとなると、ドリアンなんかどうだろう。……ちょっと似てませんか?
ハリネズ実
……と,以前からこの欄には書いておいたのだが,ニワトリ氏からの情報によると,2001.6.13付,韓国の百貨店の食品売り場にお目見えしたドリアンを紹介した「日刊スポーツ」紙「韓国日報 WomanHK」の伝えるの写真入りニュースでは,「『ハリネズミの実』味はどうかな?」「果物売場になんでハリネズミ?」といった見出しが使われ,「ハリネズミに似た熱帯の果物ドリアン」と紹介されているという(ただし,韓国で一般に「ハリネズミの実」という名前が流通しているわけではないようだ)。
ハリネズミ原産地の方にお墨付きをいただいたようで,何だかちょっとうれしい。
1998.11.16. 最終推敲:2003.09.22.
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 ■ ハリハリを煮よう ■

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さて、漬けたあとは、ハリハリをぐつぐつ鍋物にする話。「ハリハリ鍋」といえば、鯨肉を水菜(京菜とも言う)と一緒に煮たものである。これも食感からの命名であろう。鯨を食べさせる店なら、特に寒い季節、品書きに載せていて当たり前の定番料理である。周達生『東アジアの食文化探検』(三省堂〈三省堂選書162〉,1991.07.)でも、筆者の勤務先が大阪の民族学博物館であるだけあって、大阪の鯨料理専門店で出されるハリハリ鍋はたいへんうまいということがわざわざ書かれている(p.62)。
中でも、道頓堀の鯨料理専門店「徳家」は、このハリハリ鍋を看板にしているほどである。「大阪の食文化」とまで言ってのける女将さんは、はるばる九州は熊本県まで出向いて「ハリハリうどん」をふるまったりもしている。同じ大阪でも、食文化の裾野まで降りてゆけば、水菜にくじら油を使った「ハリハリ巻き」が、おでん屋さんで好評を博していたりする。
さらに、これもやはり関西で工夫されたものだろうが、一般家庭では、入手困難な鯨肉の代わりに、豚肉を使って「ハリハリ鍋」を作ってもいいらしい。「ハリハリ煮」というのも、煮たような、おっと、似たようなものだろう。合い鴨の「ハリハリ鍋」でも、鯨とはまた違った味わいが楽しめそうだが、腕とレシピさえ確かなら、ただの鶏肉でも差し支えないようだ。「ブリのハリハリ鍋」なんてものまである。要するにメインの具になるものは何でもいいが、水菜(京菜)を入れないことには、ハリハリ鍋にはならないらしい。
しかし、ラーメンのチェーンであるがんこ(本郷店)で出ていたという「ハリハリラーメン」(鶏皮肉揚入り)に至っては、関係があるんだか何だか、さすがに判断に迷うところである。
1998.11.16. 最終推敲:2003.09.23.
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 ■ ハリハリサラダ ■

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北の「ハリハリ漬け」、西の「ハリハリ鍋」と並ぶ第三のジャンルとして、「ハリハリサラダ」なる食べ物がある。これについては、「はりはりはりのハリネズミ」の わゆ さんからご教示いただいた。ハリハリとした食感を楽しむサラダであることは間違いなく、多くの場合、大根のサラダのようだが、そのレシピには、実はある程度の振幅があるようだ。
神奈川大学工学部経営工学科成田研究室(数理情報システム研究室)の Shiz さん(SHIZUYA, Hirotaka さん)のサイト中、「あなたと私の簡単メニュウ」の前菜のコーナーで紹介されているレシピでは、材料となる野菜は大根とサニーレタス、それにきざみのりである。
一方、秋田県北秋田郡の田代町町役場の広報ページバックナンバー(平成10年5月号)の「今月の料理」欄で紹介されている「ハリハリサラダ」は、切り干し大根に昆布、人参、きゅうり、それにイカが使われており、同月号の「食生活について一言」欄を見ても、ここでいうハリハリサラダが、どうやらハリハリ漬けのサラダ版といった感じのものらしいことがわかる。
しかし、わゆさんの目撃証言 (2000.01.) によれば、デパートで「京菜のハリハリサラダ」なるものが売られていたということだから、大根を使うことから「ハリハリ漬け」寄りの食物と考えられる「ハリハリサラダ」に、「ハリハリ鍋」と同じ京菜を加えた、東西折衷版「ハリハリサラダ」が、人知れず?存在しているのかもしれない。
2000.02.10. 最終推敲:2000.02.10.
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■ ハリハリを張ろう ■

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(一応断っておく。この項のテーマは「ハリハリ仮面」ではない。念のため)
張りネズミ
『ハロー張りネズミ』は、弘兼憲史さんによる、探偵人情物語とでも呼ぶべき青年漫画である。講談社「ヤングマガジン」誌に連載,コミックス第1巻(ヤンマガKCスペシャル)は1983年に発行。
「ハリネズミ」は、東京都下赤塚はあかつか探偵事務所に務める若き主人公(初出時で25歳)七瀬五郎君の通称。なぜ「ハリネズミ」なのかは、漫画の第1回第1ページで、ハリ君自らが親切に字解きをしてくれている。即ち、「張り寝ず視」である(それならば刑事探偵諸氏はその職分として大抵「張り-寝ず-視」のやむなきに至っているはずであるからして、これをいくら主人公とは言え駆け出し探偵一人のあだ名として標榜するのは甚だ不遜の振る舞いではあるまいか……なんてツッコミは、妥当ではあるにせよ、まあ野暮というものであろう)。ただし,第4話(ファイル3)では,はじめて出会った幼児に「ハリネズミみたいな頭」と言われているから,彼の髪型にもひっかけているらしい。
正直言って、私はいわゆる団塊世代に特有の感性にはどうしても馴染めずにいる人間なので、ここでこれ以上この漫画の内容について解説することはしない(全く読んでいないので、解説のしようがないということもあるが)。同じ作者による『課長 島耕作』などとともに、講談社漫画文庫にも収めされており(全14巻)、よく売れているのか書店店頭でもかなりよく見かけるので、興味のある向きは直接ご覧になるのがよいだろう。
1998.11.16. 最終推敲:2002.08.26.
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■ ハリハリを名乗ろう ■

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サーチエンジンで検索してみると,ウェブ上には,ハリネズミ(はりねずみ)または hedgehog を名乗る人が,意外に棲息していることがわかる。
大雑把に言って, の3種類に分けられる。
また、これらに該当しない特殊なケースとして,
の2例が挙げられる。

※ 情報筋によれば,へっじほっぐ氏の正体は,果敢な論客として知られる同フォーラムの常連さんの一人であり,ある期間この名前を名乗っていたが,その後は元のハンドルネームに戻って活躍しておられるとのこと。
実際には,上記のツンケン系に分類してよいケースだろう。

# ところで,私自身のハリネズミのイメージは,とにかく
「かなり 間抜けな生き物
ということにつきる。
このニュアンスを汲んだ上で「ハリネズミ」を名乗る人が,いつの日か現れることを期待したい。


ヘッジホッグ  ■ HEDGEHOG
  http://www.hedgehog.pos.to/

クレイ・アニメーションの制作グループ HEDGEHOG のサイト。
さすが,いろいろと凝ってます。
一見ハリネズミみたいな体型のカワウソ君も登場します。

 ■ Lady Hedgehog
  http://ladyhedgehog.hedgie.com/

 「ハリネズミの王と王妃」のサイト。実態は,えーと,ただのハリ好きでノリのいいアツアツカップルだったりします(^_^;。
「ハリネズミの日」に結婚した由。
1999.07.08. 最終推敲:2003.09.08.
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■ ハリハリを名づけよう ■

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ハリエット,ハリー,ハリス,はりこ,はりたろう……
ハリネズミに,とりあえず「ハリ○○」系の名前をつけてしまう気持ちは,よくわかる。
しかし,それではあまりに直球すぎはしないだろうか。
というわけで,ここ数年とみに増えてきた「うちのハリちゃん」系サイトを見る楽しみの一つは,ネーミング・ウォッチングである。なるほどと思える,ヒネリのきいた楽しいものも多い。
私にも,駄洒落ネタで思いついた名前がいくつかある。まったく気のきいたものではないし,何に使うというあてもないのだが。

「……だから,何?」とか,言わないように。
2001.12.01. 最終推敲:2002.03.13.
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■ ハリアラシ問題 ■

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 「ハリアラシ問題」とは,ハリネズミとヤマアラシの混同に関するすべての問題を包括する呼称として,いぬかわが提唱しているものである(って,誰に対して?)。
 他項と重複するが,当該問題の主なカテゴリーを,以下にまとめておく。

A hedgehog(ハリネズミ)を「ヤマアラシ」と訳す。
 英語では,ハリネズミを hedgehog ,ヤマアラシを porcupine と呼ぶが,ハリネズミの分布しないアメリカでは,ヤマアラシが hedgehog と呼ばれることがある。このような混用は,ただ混乱を招くだけだと思うのだが,たいていの英和辞典には記載されている,一般的な用法である。

★ Too Trivial! ★
 厳密に言えば,新大陸に分布するキノボリヤマアラシ類と,旧大陸のヤマアラシ類とは,同じ齧歯類ではあるが,適応収束によってたまたま似たような形質と習性をもつに至った,本来異なったグループの生き物である。
 だが,専門家以外にとっては−−とりわけ,ハリネズミとヤマアラシの区別にさえ無頓着な話し手や聞き手にとっては−−,その区別は,ハリネズミのハリの如く些細な問題であろう。

 そのせいかどうか,英語から翻訳された童話や小説では,明らかにハリネズミであるはずのものが,ヤマアラシと訳されることがある。
 ヤマアラシもハリネズミも,日本人にとっては,いずれ劣らず馴染みの薄い外来種である。それなのに,何故にわざわざ入れ換えて訳すのか,そのメリットは那辺にあるのか,理解に苦しむところである。

B porcupine(ヤマアラシ)を「ハリネズミ」と訳す。

 ネット上でよく見かける例としては,たとえば,観光日記等で,フランス・ロアール川流域地方のブロア城で見られるルイ12世の紋章のヤマアラシを「ハリネズミ」とするものがある。
 塩野七生『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』にも,イタリア地方への侵攻をたえず目論んでいる野心家のフランス王として登場しているルイ12世(このことを思い出させてくれたのは,“HOWDY!!”のひろみさんである(_ _))の紋章はヤマアラシであり,これには「近きも遠きも(攻略する)」というモットーがついているのだ。
 このタイプの「ハリアラシ錯誤」は,活字・オンラインを問わず多くの資料に見られるものであり,ハリネズミ表象の研究者にとっては,非常に厄介なものである。なぜなら,この錯誤の出現率の高さゆえに,彼/彼女の発見したほとんど全ての日本語による資料(翻訳されたものを含む)および一部の英語資料について,それが本当にハリネズミに関するものなのか,それとも本当はヤマアラシについてのものなのかという吟味が必要となり,しかも結局どちらとも断じ得ないという場合が,しばしば出現するからだ。

B’東南アジアでヤマアラシ?を見て(食べて)ハリネズミと思い込む。
  動物園でヤマアラシの写真を撮り,「ハリネズミ」として公表する。
  オンラインの百科事典に,「ハリネズミ」と称してヤマアラシの写真を載せる。
  「ハリネズミ・ドリブル!」とか言いつつ,ヤマアラシを描く。


C 「ヤマアラシのジレンマ」を「ハリネズミのジレンマ」だと思い込む。
C’英語では "Hedgehog's Dilemma" という,と思い込む。
(アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の影響によるところが大きいと思われる)

C’’ハリネズミは長いトゲをもった動物だと思い込む。

 なお,「ハリアラシ問題」と類似の問題として,「ハリヘジ問題」「ネズモグ問題」「ネズネズ問題」などがある。

「ハリヘジ問題」は,hedgehog を日本語ではいったい何と言うのだろう,という,本来生じるはずのない疑問のこと。
正解はもちろん「ハリネズミ harinezumi」なのだが,ビデオゲーム "Sonic the Hedgehog" が国際的にあまりにも有名になってしまったために,hedgehog の日本語は "hejjihoggu" じゃないのか,との誤解を招いてしまった事情による。

「ネズモグ問題」は,ハリネズミとハリモグラの混同にまつわる問題。

「ネズネズ問題」は,ハリネズミをネズミの仲間(齧歯類)と考える誤解に関する問題。かなり広く見受けられる誤解。

2002.04.06. 最終推敲:2004.01.04.
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■ アブナい動物 ■
−「危険な動物たち」に見るハリアラシ問題 −

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ヴィンス「お前らのその反応は何だ,我慢できん! なんで喜ばないんだよ?」
飼育係「アメリカへ帰れ!」

ヴィンス「……ここの連中は,感謝するということを知らんのか! この動物園が人気スポットになったのは,誰のおかげだ?」
ウィラ「ヴィンス,お客さんが動物園に来るのは,自然とのふれあいを感じるためなの。それは,電気仕掛けのロボット・パンダなんかでは得られないものなのよ」
ヴィンス「パンダを見たがってる連中にパンダを見せてやるんだぜ,それのどこが悪い?」


1997年に公開されたコメディ映画「危険な動物たち Fierce Creatures」は,英国映画最大のヒット作の1つである「ワンダとダイヤと優しい奴ら A Fish Called Wanda」(1988)の、9年越しの続編である。
続編といっても、ストーリーやシチュエーションは全く別。その代わり、前作の4人のメインキャストが、役柄を変えて、そのまま出演しているのだ。
主演・製作(共同)・脚本(共同)を兼ねるのは,モンティ・パイソン出身のコメディアン,ジョン・クリーズ CLEESE, John。モンティ・パイソンからは,ほかにマイケル・パリン PALIN, Michael が脇役として参加している。一方,ヒロイン役のジェイミー・リー・カーティス CURTIS, Jamie Lee と,主人公の恋敵?役のケヴィン・クライン KLINE, Kevin は,主にアメリカのフィルムで活躍している俳優だ。

★ Too Trivial! ★
製作はユニヴァーサル映画。ビデオはCIC・ビクタービデオ (1997),DVDはソニー・ピクチャーズエンターテインメント (2002)。

「危険な動物たち」の舞台となるのは、英国のとある動物園。アメリカに本部を置く国際的巨大コングロマリット,オクトパス社によって、親会社のオマケで買収されたこのパッとしない動物園に、クリーズ扮する新任の園長、ロロー氏が着任する。
香港の系列テレビ局から畑違いの動物園へ,辞令1本で送り込まれたロローは、社長から20パーセントの増収を厳命されている。それが達成できなければ,ロローが職を失うだけではなく,動物園そのものが閉鎖の憂き目を見るのだ(後になって,この話は,日本人が買収してゴルフコースにするという具体的な企画となって蒸し返される)。
最初が肝腎と考えたロローは,タフなボスを演じることを自らに課する。「猛獣主義」というスローガンを掲げ、飼育係たちに一発カマそうとするのだ。
「客が求めてやまないのは,強烈な刺激だ。シルベスタ・スタローン氏は,ジェイン・オースティン作品で大成功を収めたわけではない。獰猛でも危険でもない動物は当園には不要であり、然るべく処分することとする」。

★ Too Trivial! ★
 なお,ジェイン・オースティンの代表作『自負と偏見』のTVドラマが英国でヒットしたのは,この映画よりもしばらく後の話。

新園長の「猛獣主義」宣言は,当然の結果として飼育係たちをパニックに陥れるが,混乱のさなか,さらに2人のスタッフが,アメリカの本社から乗り込んでくる。
1人は、ロローと同じくテレビ畑出身の、野心的で有能な女性エグゼクティブ、ウィラ・ウェストン。ロローを絶倫男と勘違いして興味を抱くが,ロロー自身もそうであったように,やがて動物園そのものに愛着を抱くようになる。
もう一人の新来者,ヴィンス・マッケインは,オクトパス社の独裁者ロッド・マッケイン社長のアホ息子。本社のマーケティング担当副社長という肩書きこそ立派だが、実は無能・無責任・無神経と三拍子そろった俗物。父親にもすっかり疎んじられているが,ウィラの色香に迷い,英国くんだりまでついてきてしまったのだ。
演じるケヴィン・クラインは一人二役で,ヴィンス・マッケインと父親のロッド・マッケインの両方に扮している。ロッド・マッケインは傍若無人で冷酷な独裁者として描かれているが、“ニュージーランドのラジオ局社長からのし上がったマスコミ王”という設定は,あまりにもモデルがあからさまだ。

★ Too Trivial! ★
脇役好きな視聴者なら,生真面目なロローよりもむしろ,遺伝子の犠牲者ともいえる若旦那ヴィンスの方を,このコメディの主人公に見立てたがるかもしれない。
「ワンダ」「動物たち」でケヴィン・クラインに演じられている役柄と,後に「ワイルド・ウェスト」で(やはり一人二役で)演じられるそれ−−嫌味なまでに知性過剰な天才捜査官−−との間には,わざとかと思うような際立ったコントラストがあるが,コメディを演じるときのクラインに特有の“クドさ”が,これらのキャラクターを同じカラーに染め上げている。

「猛獣主義」がひき起こした騒動の責任を問われたロローに代わり、動物園の経営権はウィラとヴィンスに引き継がれるが、ヴィンスの行き当たりばったりなマーケ商法は、かえって混乱をエスカレートさせてゆく。
この状況をさらにヤヤコシくするのが、マイケル・パリンの演じる昆虫飼育係,バグジーだ。人の話を聞かずに延々としゃべり続ける衒学的な変人だが(前作ではシャイな吃音者の役で台詞がほとんどなかったことを考えると,これはニクい設定である),彼ら全員の境遇に重大な変化をもたらすある事件の引き金は,彼が引くことになる。

★ Too Trivial! ★
前作「ワンダ」では、英米の国民性の違い?によるぶつかり合い、特にクリーズ対クラインの罵倒合戦が、見どころの一つだった。英国人とアメリカ人を,それぞれ,クリーズ演ずるクソ真面目で小心なお父さん弁護士と,クライン演ずる無知無教養で間抜けな殺し屋に代表させたのは、特にアメリカ人の側に、ちょっとお気の毒だったけれど。
「動物たち」では,基本的な人間関係については,前作の構図が踏襲されている。誠実だが不器用な主人公,野心的で計算高い反面情熱的なヒロイン,軽薄で無神経で間抜けだが憎めない敵役の3人による,不等辺三角関係。前作ではクライン演じる殺し屋オットーの姓が West だったが,今回はカーティスの演じるウィラの姓が Weston となっている。クライン×カーティスのコンビが,大西洋の向こうからのインベーダーである点までは変わらないのだが,古典的なカルチャー・ギャップのネタは,本作ではほとんど姿を消してしまっている。
代わりに登場したのが,経営者対従業員という構図だ。ギャグのネタとなるのは,非人間的な利益至上主義や,限度のない拡大主義,あるいは,マーケティング・リサーチや広告,イメージ効果,タイアップ,フランチャイジング等々を駆使したアメリカ的現代商法。
コメディとしての面白さでは、残念ながら前作には及ばないと言わざるを得ないが,“理不尽なワンマンオーナーの牛耳る商業主義的な親会社から出向してきた経営責任者が苦しまぎれに繰り出す場当たり的で上滑りなマーケティング商法に振り回されるパッとしない動物園”に勤めた経験のある人なら(私にはたまたまその経験があるのだが),本作の面白さを十分に堪能することができるだろう。
この映画,エンディングがブラックに過ぎてアメリカでの試写会ではウケず,ストーリィを変更して後半30分を別監督で撮り直されているが,このエピソードは,“カルチャー・ギャップ”の実例そのものであろう。英国人と比べると,アメリカ人には,ブラック・ユーモアに対する耐性がずっと低いのだ。

本作には,ハリネズミは1匹も登場しない。
ヨーロッパの動物園にもハリネズミはいるだろうが、英国をはじめとする多くの地域では、ハリネズミは“そのへんにいる”ありふれた野生動物でしかないのだ。
そのかわり、本作にはヤマアラシが2度,登場する。

出番の一つは、ヴィンスの思いつきで、飼育係たちが動物の着グルミを着込んで仕事をすることになり、ウンザリしているシーン。飼育係たちのリーダー格であるロタビーの身を包んでいるのは、ヤマアラシの着グルミである(ノベライズ本では、これを「ハリネズミ」としている。イアン・ジョンストン,常田景子訳『危険な動物たち』,扶桑社〈扶桑社エンターテイメント シ13-1〉,1997.08.;p.249)。
どんな仕掛けになっているのか、本物のヤマアラシと同じく、ハリを立てたり寝かせたりすることができるのがいい。ハリの色を含む体色が黒ではなく褐色であるせいで、今ひとつヤマアラシらしく見えないのだが,飼育係ロタビーに扮する英国の人気俳優ロバート・リンゼイの齧歯類的な前歯は,それを十分補って余りある。

ヤマアラシと関わるもう一つの場面は、昆虫飼育係のバグジーが、園長職を降ろされて実権を失ったロローを相手に、ヴィンスのビジネス至上主義への批判をまくしたてるシーン。
「そのうち動物たちを全部売り払うなんて言い出しても不思議じゃありませんね。スペシャル・サマー・セール! レイヨウ50パーセントオフ! オセロット1頭200ポンド、6頭で1000ポンド! 金曜の夜には,(強精剤として)サイの角を! 特製Tシャツを2着お買い上げの方には、もれなくヤマアラシを1頭プレゼント!」
ノベライズ本 (p.176)では,ここでまたしても、この“ヤマアラシ porcupine”「ハリネズミ」と訳されている。ビデオの字幕も同じ誤訳を犯しているが(ヤマアラシでもハリネズミでも字数は同じなのに!),DVDでは,字幕・吹き替えとも,正しく「ヤマアラシ」となっている。
英国では、ハリネズミは決してエキゾチックな動物ではなく,レイヨウやヤマネコと並べられるようなものではないのだが……Tシャツのおまけとしては、確かに妥当なところかもしれない。
1998.12.10. 最終推敲:2002.11.10.
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